2023年3月に閣議決定された観光立国推進基本計画でも「持続可能な観光地域づくり」が掲げられるなど、SDGsに基づき持続可能性に配慮した観光まちづくりをすることが求められています。

また、人口減少をはじめとする諸課題で地域の活力の維持が危ぶまれるような地方部では、昨今、特に関係人口づくりに向けた施策が講じられていますが、一方で、自然環境保全やツーリズム産業における雇用の安定化の視点からも、観光を通じた「持続可能」なまちづくりの重要性は高まるばかりです。

しかしながら、その実現には、観光客を受け入れる事業者に加え、DMOや観光まちづくり会社などの支援組織、一次産業や基幹産業の従事者、地域住民、自治体など、多様な関係者と共通の認識を持つことが欠かせませんが、異なる利害関係を持つ人たちと合意形成を得るのは非常に難しいことがあります。

●SDGs×観光まちづくりビジネスカードゲームとは

そこで、持続可能な観光地域づくりを疑似体験できるビジネスカードゲーム「SDGs×観光まちづくり」の開発に至りました。このビジネスカードゲームは、ある地域・まちで「観光を手段として持続可能なまちづくりを実践する」をテーマに、参加者が地域のプレイヤーとなり、「地域の魅力を高める」という共通のゴールに向かって、他のプレイヤーと協力しながら事業を展開していきます。一言で表せば、魅力的な地域づくり・まちづくりシミュレーションゲームです。

●ビジネスカードゲームのイメージ

ゲームのタイトルにもなっている『観光まちづくり』とは、地域が主体となり、地域の観光資源を利活用しながら、地域外からの関係人口を拡大するためのさまざまな取り組みを行うことで地域を活性化させ、持続可能な魅力ある地域を実現することを指します。

そしてビジネスカードゲームでは、「観光地」を作るのではなく、観光を手段にした「まちづくり」をテーマに展開していきます。人口減少や高齢化などの課題を抱える地域が、将来にわたり持続する方法を考えていきます。官民の様々なセクターの人たちと連携しながら、地域の魅力を高めていくためにさまざまな事業を展開していく、そういったことを疑似体験できるゲームです。

プログラムは、ゲームでの体験を実際の観光まちづくりにつなげるためにも、前半の「ビジネスカードゲーム体験（約3時間）」と後半の「ゲームで得た気づきを具体的なアイデアや行動につなげるワークショップ（約3時間）」の二部構成となっています。

前半のビジネスカードゲームは、「地域・まちの10年後を作る」をテーマに、12人以上の参加者が、立場や役割の異なる12のプレイヤーに扮していただきます。参加者は、自身に与えられた役割やミッションを果たしながら、地域の魅力を高めるために他のプレイヤーと協力・相談して事業を展開していきます。

●ビジネスカードゲームの流れ

12のプレイヤーは、観光客を受け入れる「交通事業者」「宿泊事業者」「旅行会社」「観光施設」「小売店」「飲食店」、地域の基幹産業となる「メーカー」「1次産業従事者」、地域づくりの旗振り役である「行政」「観光まちづくり会社」、それに「大学」「地域住民」を設定しています。現実世界と同じく、多くの異なる立場の人々がゲームに登場しますが、それぞれが抱く志や達成すべきゴールは異なります。 それと同時に、全てのプレイヤーは「10年後の地域の魅力を高めること」という共通の目標、具体的には4つの地域の魅力メーターである『自然・文化・歴史』『食と買い物』『観光施設』『顧客体験』が、ゲーム終了時点で極大化できれば、それが最良の結果となります。

そして後半のワークショップでは、ゲームで得た気づきや学びをもとに「わが地域・わがまちの未来をどうしていくか？」をグループごとに話し合っていただきます。ここでは、10年先の未来の「ありたい姿」を起点に、そこから逆算して「今、何をすべきかを」考えるバックキャスティングの思考法を用いて、参加者に考えていただきます。

●ワークショップのイメージ

●ビジネスカードゲームのコンセプト

①持続可能な観光の視点で考えるまちづくり
観光客や交流人口を呼び込むことで経済的な恩恵がある一方で、環境汚染や自然破壊、オーバーツーリズムのリスクもあります。このゲームでは「住んでよし・訪れてよし」を実現するために、地域全体で持続可能な観光を目指すことの重要性を伝えます。

②将来のビジョンの再確認・形成
持続可能な観光まちづくりを実現するためには、地域に関わる人々が思い描く地域のありたい姿を重ね合わせ、この地域が目指す「共通のビジョン」を生み出すこと、また再認識することが重要です。ビジネスカードゲームでは、参加者が心から目指したい共通のビジョンを集合的に生み出す過程を体感的に理解することができます。

③協働と連携
持続可能な観光まちづくりは、観光業界の事業者だけでは実現しません。行政、様々な事業者、地域住民が積極的に協力し、連携することで、地域ならではの新しい価値を生み出し、まちの魅力を高めます。ビジネスカードゲームでは、協働と連携の大切さを改めて具体的に学ぶことができます。

●本プログラムの活用例

このプログラムは、ビジネスカードゲーム体験（約3時間）と、ゲームで得た気付きを行動につなげるワークショップ（約3時間）の二部構成です。参加者は、地域の未来について共同で議論し、実際のまちづくりに活かせるアクションプランを練ります。どちらか一方のみの実施にも対応できます。

このビジネスカードゲームは、地域の課題に対する新しい視点と方向性を示し、持続可能な観光まちづくりへの道を切り開く重要な一歩を実現します。ぜひご検討ください。
本プログラムの資料を御用意しています。弊社ホームページにある問合せフォームからお問い合わせください。

また定期的にビジネスカードゲーム体験会を開催しています。詳しくは以下のページをご覧ください。
https://kankosdgs.peatix.com/